ファラオン・ゴッドパンチ!

テレビ大阪の「牙狼」は第4話「晩餐」を放送して、放映時間も製作体制も、本来こちらがアマチュアイズム溢れる番組に仕上がるはずが、円谷ブランドのミラーマンに対する円谷出身組のシルバー仮面と言うか、(誰も言わないのが不思議でならないが)雨宮イズムの盗用としか思えない東映の「仮面ライダー響鬼」より正当派のヒーロー番組に仕上がり、見事とって代わった感がある。これからも「牙狼」は同じ深夜枠だった(円谷映像の)「仮面天使ロゼッタ」よろしく安易な情況論など一切組み込まず、徹底した正義と悪、生と死の二元論をもってヒーロー番組の復権を試みていただきたい。ところで加勢大周が見事な貫禄で演じたホラーの名がパズズであり、これと牙狼の単純な対決の図式が終盤できあがり、また超えるべき存在として先代の魔戒騎士が登場するなど、今回はウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」のパロディであったかも知れないとは考えすぎ。

そしてこちらは複雑怪奇なキャラクター編成に正義と悪の二律背反性があり得ない「仮面ライダー響鬼」なら、井上敏樹が得意のコメディ路線に当然の活路を見出したかと思ったら、また勿体ぶった展開になってうんざりさせられる。ついでに美学がまったく感じられない、まるでメカアーミーの竜マンみたいなデザインと造形の最強怪人にも萎え。

ATXで「科学救助隊テクノボイジャー」が放送開始。石黒昇とか園田英樹とか小泉謙三とか、ずらっと並んだテロップだけでうんざりする布陣なら、序盤からたかだか知れた出来ばえで、マシンハヤブサより短い全19話は、製作会社の再編成や、魔の土曜夜7時半の枠だけが原因ではあるまいが、それでも80年代にロボット不在のメカニック路線を打ち立てようとした意欲はそれだけで価値がある。