片手にピストル、心に花束

ナディン・ゴーディマ「ジャンプ」読了。11の短編すべてが孕んだ不安感、緊張感の正体がすべてアフリカの人種差別や政情不安に拠るものと分かる執拗なオチに浅学な自分は唖然としながら、夢中で読み終えてしまった。アフリカの作家は三冊目だけど、いまのところハズレがない感じで、今年のノーベル文学賞の有力候補もアフリカ人らしいのはまあ妥当なところではないか。

と言うか毎年のようにノーベル文学賞に飽きもせず村上春樹氏を祭り上げてるハルキニストの皆さんは、それほどまでノーベル文学賞が気になるなら毎年の受賞者の作品も読破するついでに、読む本もなく買いにいく暇もないのでまた繰り返し読んでる愛読書「極光のかげに」の文中にもある「言語の問題」をいっぺん考えてみたほうがいい。

スターチャンネル「チェイサー」。実業家ドロン42歳。内容はありがちな政治サスペンスで、素晴らしくクリーンな映像とエッフェル塔を臨むドロン邸筆頭、カッコいい美術にうっとりするのが正解。1977年。

DVD「サムライ」。殺し屋ドロン32歳。まるでドロンのプロモーションビデオみたいな映画。いちばん美しい時代のドロンが横溢する贅沢な映像に耽溺するのが正解。1967年。

スターチャンネル「或る犯罪」。弁護士ドロン58歳。日本未公開の小品で、商売にはなり難くても凝った心理戦と映像で楽しめた。1993年。

東映チャンネルのガ・キーン。敵が勝手に予想するガ・キーンの弱点が見たまんま脚なのは、当時以来で観るたび唖然とさせられる。流石は東映動画プロジェクトチーム(誉めてません)。