あんまりさびしくなると、病気になっちまうんだよ

スタインベック「ハツカネズミと人間」読了。以前に読んだスタインベックの「怒りの葡萄」はさびしい気分になるだけで、きっぱり読まなきゃ良かったみたいな小説だったけど、こちらはさびしい気分になっても読んで良かったみたいな紛れもない傑作。80年近く前の作品とはとても思えない会話の妙と、自然描写も繊細で素晴らしい。なかんずく孤独な黒人クルックスの、レニーへの告白が心に染みる。

あと武者小路実篤の「若き人々」挫折。好きな作家さんなんだけど、なんか全然読み進めないのが辛くてやめ。作者の作品の大半が悲劇的なことを母親がいつもこぼしているとの序文が、高際和雄氏の母親の意見とまったく同じなのはタイガーセブン的に面白かった(作品にはまったく関係ありません)。