他人の顔

スターチャンネル「セコンド アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身」。たぶんブラックジャックの「失われた青春」の元ネタになってる映画。仕事も生活もまったく不満のなさそうな中年男がまったくの他人に摩り替わるまでの経緯は上手かったけど、ロック・ハドソンナチュラリスト?の祭に参加したくらいで吹っ切れて正体をばらし、勢い破滅を迎える展開はいささか唐突過ぎる。しかし観客の不安をやたらと掻きたてる深沢清澄ばりの魚眼レンズのカメラ、そしてジェリー・ゴールドスミスの音楽は全編通して嫌な意味で出色だった。とまれ念願だった映画を観ること叶って感無量。だいたいフランケンハイマーは今回の「セコンド」と「五月の七日間」の二大エスエフがいまだに日本で手軽に観れないのはどないなっとんねんと。石上センセも大伴センセも(ランカスターの「泳ぐひと」をエスエフ扱いしながら)さりげなくスルーしてるのも謎。ジョン・フランケンハイマー監督で1966年。

東映チャンネルのまんがのラインナップの充実ぶりは何年来だろうか。これでこそ銭を払ってる甲斐があると言うものと大阪万博での星新一の名言を真似てみる。