1999年の夏休み

スターチャンネル「未知の戦場・ヨーロッパ198X」。第三次世界大戦下の軍医ドロン44歳。おフランスエスエフ映画は思い出すところトリュフォーの「華氏451」とゴダールの「アルファヴィル」しか観たことないけど、これらと同じでエスエフ的なガジェットを故意に?排除したポリティカルな作りは凄く好みで面白かった(と言うとあの悲惨なオチではいささか弊害がある)。三機のヘリコプターを巧みに撮ってはエスエフ的な絵作りをしているのもいい。ドロン映画でお馴染みフィリップ・サルドの音楽もいい。

同局「テディベア」。産婦人科医ドロン59歳。ドクタードロンって意外と多くてビックリする。絶倫ドロンが自業自得で殺人鬼に狙われるハナシで、オチに全然まったく釈然としないことうけあいみたいな、そら日本未公開にもなるわみたいな映画。59歳でなお精力絶倫のドロンには見習うべきところがあるけど、とりあえず産婦人科医の設定は全然まったくいらんかった。

同局「若者のすべて」。ボクサードロン25歳。「太陽がいっぱい」と同年の映画で、こちらはモノクロ画面と聖人君子のロッコのキャラクターが効果を挙げるドロンの美しさは名状しがたいほど。完成度もビスコンティ作品では随一ではないかと思うけど、3時間の大作では致しかたないのか、前半の微妙な緊張感が後半まで続かなかったのは残念。それに伴い「アランドロンのすべて」のラストに流れたドロンがチャンピオンになった祝賀会のシーンがラストシーンかと思ったらまだまだ続いてびっくりしたのは余談。

シンゴジラ同調圧力を絆と勘違いしているいまどきの日本人にはまさにぴったりのおめでたい映画だったと思う。

テッカマンもギンガイザーも終わっていまや「ヴィナス戦記」と「宝石の国」ぐらいしか観るものがないATXでWUG!の新章が流れててちょっとだけ観たけど、情緒不安定になりそうな絵はともかく、あのWUG!がどうしてこれほど胡散臭くなるのか不思議でならない。喩えるならガッチャマンに対するガッチャマン2みたいな印象で、スタッフ諸氏はちゃんと前作を観ているのか?

しかし「宝石の国」はいい。キャラものは仮面ライダー龍騎とこれぐらい徹底したほうが潔くていい。