火炎怪人ザイラスを撃て!

ブラッドベリ10月はたそがれの国」読了。初期の短編集でエスエフと言うより上品な怪奇譚の趣。好みで「つぎの番(怪奇大作戦の「死神の子守唄」みたいなハナシ)」「使者(クリープショーみたいなハナシ)」「大鎌」「デッドリーストーンのふしぎな死(望月あきらのカリュウドにあったみたいなハナシ)」は就中傑作ではないかと思う。こちらも所収の「小さな殺人者」は、リックベイカーのモンスター造形が悪趣味すぎる「悪魔の赤ちゃん(昔うっかりテレビで観て気絶しそうになった)」がもう間違いなくパクっている。ちなみにカッコいいうえ美しいタイトル「10月はたそがれの国」は収録されてません。

仕事が一段落してここ2週ほど続けて相棒と怪獣漫談(相棒が命名)。ここんとこの話題はシルバー仮面ミラーマンのそれぞれ序盤のエスエフの方向性について。実際、おない年の相棒と当時の思い出を交えてこの手のハナシをしているときがいちばん楽しい。あと最近頓に思うのは、過去の作品群を後年観て、どんなに感銘を受けたとしても、それは本人にとって絶対のものにはなり難いと言うこと。だからいま流行ってるもんでも平気で耽溺できると言うこと。そんな絶対のない人生を心から気の毒に思いつつ、しかし深いつもりの底の浅さは一面、羨ましくはある。

相棒に借りた梶原一騎牧美也子の「恋人岬」が美しくも凄かった。グアムに実在する恋人岬を軸に、全集の全六巻の長丁場でメインの3人の機微を描ききって、梶原一騎の筆は漫画原作と言うより既に文学の領域。牧美也子の作画もどんどん上手くなって、天・地・人と揃ってほとんどパーフェクトだったけど、序盤で赤月さんがルナと結婚するところだけ理解不能

あと石井いさみの「四角い青空」も借りて読む。少年院に投獄されてくる少年たちのそれぞれの物語。鎌田のサミーの絵は当然みたいにカッコよく、こちらは少年キング掲載の少年漫画らしい短篇で読みやすかった。最終回でちゃんと主人公にもオチをつける丁寧さも良い。