インフェリオリティーコンプレックスの狂人レベルな私

「暗渠の宿」読了。以前に読んだ「苦役列車」が露悪的にすぎていたたまれず、二度と反芻したくない私小説と断じて友人に献本したものの、どうにも再読の渇望やまず、のち同じ本を都合3回買ってしまった西村賢太の新人賞受賞作。同い歳でかつ名前の二文字が並びまで同じと言うのは全然まったく関係あるまいが、こちらも「苦役列車」と同じく、心の澱をひとつ残らず掻き出されてしまうような、まさに圧倒的な私小説だった。当節これほど赤裸々に自分を描ける作家がいるものだろうか。そんな氏に倣って今後は自分も虚心坦懐、自分を偽ることなく、その著作を順次愛読していきたいと思う。同い歳であること誇りに思える作家。