傷だらけの勝利

おススメでお借りしたDVD「トーク・トゥ・ハー」。冒頭、スリップ一枚の老女2人の前衛バレエ?で始まって大丈夫かおい!と思ったけど、以降は素晴らしく透明感のある画面に音楽(劇中歌のククルクク・パロマが最高)、ヨーロッパの素敵なインテリア、そしてダリオ・グランディネッティの中庸で柔らかな視線のおかげさま、とても面白く観ることができた。それにしても長年の昏睡状態で、おっぱいのカタチが素晴らしいレオノール・ワトリングにいらんことしたあげく妊娠させるハビエル・カマラの映画の焦点になる奇行は、しかしこれが当節の日本なら全然まったく変態でない感じなのが恐ろしい。我々は毒されている!あと劇中劇で、マシスンの「縮みゆく人間」のエロパロみたいな「縮みゆく恋人(ちゃんとエスエフ)」も、豪ちゃんの漫画かスネークマン・ショーを彷彿とさせるナンセンスなオチが楽しかった。スペイン映画ならお約束で登場するマタドール、ロサリオ・フローレスが声に見た目も高乃麗にそっくりだと思ったら、日本語吹き替え版がまんま高乃麗だったのは余談。ペドロ・アルモドバル監督で2003年。

タイガーマスクは大門が登場するところまで。小松原センセや羽根センセは無論、メインの木村圭一郎すら軽く飛び越えて、アニメのくせにカットごとにため息が出る窪詔之の絵の上手さはもう尋常でない。こんな凄い人が40年代にほとんどお仕事をしていないのはどないなっとんねんと。