たまに間違えて名作が出来る

vakisim2013-04-19

WOWOWシネマ「侵入者」。人種統合政策を背景に、アメリカ南部のとある町に侵入したレイシスト、アダム・クレーマーが引き起こす珍事。きっぱり娯楽性はまったくない。監督のコーマン自身が「コーマン帝国」で述懐してんだからこれはもう間違いない。しかしカーク船長のひゃくまんばいは迫真のウィリアム・シャトナーの演技、とりわけ公民館での息づまるアジテーションだけでも観る価値のある映画だと思う。どこかブロンソンを髣髴とさせるセールスマン役のレオ・ゴードンも、粗暴な初登場シーンからは想像もつかない役どころに落ち着いて印象に残る。1962年。

ほんで同局「コーマン帝国」。ニコルソンの「古城の亡霊」のバカ話は面白かったけど、大概の作品なら観れるようになった当節ならことさら、遥かな旧作へのいまさらのアプローチはあんまりいい趣味とは思わない。とは言え諸々の作品からモンタージュしたエンディングのカッコよさは格別で、画面から伝播する製作スタッフのコーマン作品への熱愛っぷりは感動的ですらある。2011年。