ハハン王さんのオー、ハハン九ちゃんのキュー、オーキューバーン

はい!出番です!しっかりしなやかニチバンのオーキューバンってまだあるんかしらん。関西圏だとボーンフリーのスポンサーだったんよね。

衛星劇場で九ちゃんの映画の一挙放送「悲しき60才(大映)」「見上げてごらん夜の星を(松竹)」「万事お金(東宝)」「幸せなら手をたたこう(大映)」の4本立てに全部付き合ってアタマヘロヘロになる。「悲しき60才」はどこかエスエフ映画の質感で藤子不二雄のジジぬきみたいな黄泉がえりもの。金城哲夫が見てたらちょっと問題あるようなオチにビックリする。「見上げてごらん夜の星を」は翌年に東京オリンピックを控えた高揚感の影の青春群像。オープニングの草野球に興じる夜学の若者たち(伴淳三郎もいるけど)のスナップだけでもこの映画は勝ったも同然。快哉と憧憬で実に感極まる一本。翻って「万事お金」は若林映子が出てないとかなりヤバい、クレージーやドリフも含めて東宝コメディ路線のナニが面白いんかさっぱりワカラン人間には実にどうでもいい映画。これなら九ちゃんが坂本九の役どころで最初と最後の2カットしか出てなくても「幸せなら手をたたこう」のがずいぶんマシ。ついでに録画しといた「坊ちゃん(松竹)」は九ちゃんの坊ちゃんは無論、そういう私は牟田悌三の赤シャツに三波伸介山嵐、マドンナの加賀まりこのキャスティングだけでこちらも勝ったも同然。

しかし九ちゃんっていいよね。自分世代だとレギュラーは「新八犬伝」と「生きものバンザイ」ぐらいだけどなぜかしらんやたら馴染み深い。かの航空事故のあった深夜、ラジオで延々と続く訃報の最中に「…おおしまひさしさん、この方は歌手の坂本九さんです…」と流れたときのショックはいまだ忘れがたい。

三島由紀夫の「永すぎた春」読了。間違いなく主役は婚約者の2人だけど、花婿の母や友人や花嫁の兄が美味しいところ全部かっさらって全篇が終わる。花嫁の兄の婚約者の母親の漫画みたいな(小説だけど)悪辣さと、花嫁とその兄とその婚約者の終盤の心理戦が凄い。タイトルや三島の作風から予感する悲劇が訪れそうで訪れないテンションが楽しかった。

そういや何日か前にスイートプリキュアのDVDが届いたけど注文してたことも忘れてたくらいでなんら感慨もなく。どうしてこんなことになったのか。