モンスター・ア・ゴーゴー

なんと言われてもスプラッタをホラーに数える感覚はおよそ理解できないが、ホラーチャンネルであのハーシェル・ゴードン・ルイスのあの世界初のスプラッタのあの60年代初のカルトのあの「血の祝祭日」を放送。なんと恐ろしい時代である。ちなみにルイスの映画はスプラッタでなくゴアと呼ぶらしいのはどうでもいいマメ知識。かねてから聞く評判に違いない、演出、俳優、音楽と、そのすべてがど素人まるだしの超最低映画だが、頑張って3回ぐらい見ると癖になりそうな薄気味悪いムードは捨ててしまいたいが捨て難いものがあり、狂信的な連続殺人鬼がセッコ&ショコラータよろしくゴミ収集車に飲まれる最後を括る “町のごみを掃除してくれてありがとう”の台詞もなかなかイカしている。そのほかルイス映画は超々最低映画の「2000人の狂人」改め「マニアック2000」に、究極最低映画の「悪魔のかつら屋」も当月のラインナップだが、こんな映画ばっかり見てるとバカになることはまあ間違いない。

そしてその翌日にはナルシソ・イパニエス・セラドールの「象牙色のアイドル」を放送するホラーチャンネルの緩急は素晴らしいのかあるいはなんも考えていないのか(多分後者)。陽光眩しいデビュー作「ザ・チャイルド」と対照的な闇深い女子寮で繰り広げられる惨劇は、「シルバー仮面」の第1話と同じくらい暗くて良くワカラン場面も少なくないが、こちらはセラドール大好きクラブを結成したいほどの傑作。しかしセラドールはあとにも先にも「ザ・チャイルド」と「象牙色のアイドル」の2本しか撮ってないのでクラブは即解散。

あと調子こいて「デッドゾーン」も見たが、こちらはクローネンバークにしては素晴らしく美しい映画に仕上がっていて、かえってビックリする。