兄弟よ、まだ間に合う

ようやく時間ができてDVD「アフリカの女王」。第一次大戦下、アフリカを任地にする宣教師のキャサリン・ヘップバーンが船員のハンフリー・ボガードを率いて、おんぼろ汽船アフリカの女王で怨敵ドイツの旗艦の破壊を目論む痛快無比な冒険譚。ゴジラ以前の1951年の映画なのにカラーでまずビックリ。そしてトレンチコートが似合わないボギーに2度ビックリ。そんなボギーを凌駕して、さらに不撓不屈のキャサリン・ヘップバーンに溜飲が下がることうけあい。急流の合成やスクリーンプロセス、そしてミニチュアワークと意外とふんだんなトクサツも楽しい。監督はジョン・ヒューストン

キャサリン・ヘップバーン2連発でWOWOWシネマ「招かれざる客」。シドニー・ポアチエとの電撃結婚を宣言する白人女性キャサリン・ホートンに翻弄される両親らの姿を描く。シドニー・ポアチエが主役と思って観ていると、さにあらんキャサリン・ヘップバーンが主役な気がしてきて(騒動を冷やかしに現れた女部下をクビにするシーンが最高)、最後に結局スペンサー・トレイシーが全部持っていく映画。モチーフになる人種差別問題はあくまでも埋没されたまま、洗練されたドラマが静謐かつ知的に、かつテンポ良く進んで見応えのある佳作だった。舞台になるベランダから臨むサンフランシスコ市街がミニチュアと描き割り丸出しなぶん、どこか戯曲的でもある。ポリティカル・エスエフ・ブームには「渚にて」を撮ったスタンリー・クレイマー監督で1967年!