俺の部屋はコクピット

葉山嘉樹の短編集「淫売婦・移動する村落」読了。表題作で導入部の「淫売婦」と続く「セメント樽の中の手紙」の異常さに引き込まれるまま全編が同じテンションで一気に読めてしまって、面白かったことと哀しかったこと以外の感想がほとんど残らない不思議な読後感だった。あとプロレタリア文学の嚆矢になった作品群らしくて、どの作品も労働者の憤懣やるかたない思いがまんべんなく埋没されて息づまるようだった。登場する「加藤清正」なる労務者がブラックジャックの「三者三様」の元ネタかもしらんと言うのは余談。

ご町内にある「模型のツバメ屋」が関西人ならサンテレビのコマーシャルでお馴染みのあのお店の関係筋かここ十数年ずーっと気になってたんだけど、このたびついに入り用のものができて堂々オーナーのおじいちゃんに聞いてみたら、あちらさんの屋号は「模型のつばめや」でひらがならしい。全然気がつかんかった!でもお客さんからよく同じことを聞かれるらしいのはサスガ。