彼は言語が時として障壁であると気づかせてくれる

ダニエル・キース「アルジャーノンに花束を」読了。かつて石上三登志先生が自己の内部に対する寓話が怪奇モノの本質だと説いた通り、SFよりむしろ怪奇小説の範疇になるようなそら恐ろしい小説で、自分も含めて大勢の読者が主人公チャーリーのどこかに自分を投影しては慄然とするのも道理。その一方、原作を読んで思い浮かべたチャーリーが「まごころを君に」(監督は二度と見たくない映画ナンバーワン「ソルジャーブルー」も撮ったラルフ・ネルソン)のクリフ・ロバートソンでなく、なぜかSFスリラーの「地球爆破作戦」のエリック・ブリーデンだったのは、創造主を知能で凌駕していくチャーリーがコロサスも想起させたからかしらん。

ヤフオクのハナシ。先だって「金田伊功」の色紙がザ・モーションコミックの当選通知つきで高額落札されて以来、続々と色紙が出品されている。しかし見るからに贋作なのは置いといても、タイトルが揃って「金田伊巧」になってんのがどないねんと。