人生は持久戦である

庄司薫のエッセイ「狼なんか怖くない」読了。自殺が社会へのお詫びにはなっても借りを返したことにはならないと言った省察、情報洪水の時代(昭和40年代でさえ)では自己認識の情報処理が困難になり、結果、未成熟な人間が増えると言った省察が面白かった。著作「赤頭巾ちゃん気をつけて」が原作の時点で色を意識していたことや、東宝映画のキャッチコピー「男の子いかに生きるべきか」が芥川賞の受賞の言葉からの引用だった内情も拾いものだった。でも内容の大半はちんぷんかんぷんで、核心の「純粋」と「誠実」への省察も巻末の解説のおかげさまようやっと理解できたような按配。ちなみに今回いちばんビックリしたのは洒脱な薫ちゃんがオヤジと同い年だったこと、そして著者近影が東宝映画の岡田裕介にそっくりだったこと。