いかん、きさまは死ぬ気だ、俺がいく。

日本映画専門チャンネル飢餓海峡」。3時間強をものともしない集中力を湛えて素晴らしく面白かった。俳優陣の演技も鬼気迫って文句なし。でもシリアスな伴淳三郎より好漢な山本麟一のが珍しい気がしないでもないが、驚愕のラストシーンに地震情報が被ったのは参った。まったく、あほのすることは度し難い。

同チャンネル「兄貴の恋人」。森谷司郎の映画は品があって実に好ましい。モテて当然のリーマン加山も若大将のひゃくまんばいカッコいい。イメージを一転させた清水紘治もカッコいい。しかしいちばんカッコいいのは一見、冴えないオヤジの宮口精二なのは言うまでもない。女性陣も、ふくれっ面が岡田可愛と、いまや失われた女性観を具える酒井和歌子、当節流行りの妹萌を40年先取りした内藤洋子、昭和40年代を迎えてひとりだけ妖艶な白川由美とうっとりするようなラインナップ。ついでにどっかで見た加山の6番目の見合い相手はチブル星人の傀儡のアンドロイド・ゼロワンだった。

同チャンネル「モスラ」。翌年の「妖星ゴラス」と並んで本多監督の演出も好みで、実に上品かつ出来のいい、個人的にベストに数えたい怪獣映画のいっぽん。神経の行き届いたトクサツも文句なし。女性の観客を意識しての作品が湛える母性が素晴らしい。ちなみにうちのおかんもロードショウを観にいったそうな。