希望を失った生活にはただ死が待っているのみだ

島田覚夫「私は魔境に生きた」読了。終戦後10年間ニューギニアの奥地で原始生活を営んでいた日本兵の手記。敗走からジャングルへの篭城、開墾から原住民との邂逅、そして帰国まで、不謹慎ながら息をもつかせぬ面白さだった。暗澹たる逆境に不撓不屈の精神で挑む著者らの姿に学ぶべきところも多い。しかしこの第一級のドキュメントが上梓から実に30年間も日の目を見なかったのはいかがなものか。

イマジカ「華麗なるギャッビー」。色々と批判を聞く映画でも、フィッツジェラルドの原作のダイジェストとしては素晴らしい完成度だと思う。そしてジェイ・ギャッビーは生まれついてのプリンスのレッドフォード以外考えられない。サイレント・ランニングブルース・ダーンが実に嫌な役で登場するのは余談。1974年。