ジークハイル

ザ・シネマ「ブラジルから来た少年」。ナチの残党がヒトラーのクローンを無数に作り出して、気の遠くなるような手間ひまをかけて第三帝国の復活を目論む。残忍なマッドサイエンティストを演じるのがアメリカの良心と謳われたグレゴリー・ペックで、対するナチスハンターのユダヤ人を演じるのが英国のローレンス・オリヴィエ卿と言うだけでなんかお腹いっぱいの映画。この2大老優のギャラだけでも結構な予算だと思うのに、妙に安っぽいムードが「オデッサ・ファイル」をやたら髣髴とさせる不思議。ついでにペックが犬に襲われて失血死するシーンが「オーメン」も連想させて実に薄気味悪い。でもエスエフな雰囲気とスリリングな展開は悪くない。「猿の惑星」のフランクリン・J・シャフナー監督で日本未公開。音楽はジェリー・ゴールドスミス