新幹線大爆破

畑山博「狩られる者たち」読了。不条理な日常に呻吟する青春像を描いた6編。全然まったく知らない作家さんだったけど、どこか空想じみた世界観がグロテスクなほど緻密な筆致と機知にとんだ比喩に彩られて、どれも素晴らしく面白かった。ちなみにその一編、1967年に発表された幻視小説「みんな手首になってしまった」はどう考えても古谷三敏の「手っちゃん」の出典で、手首が自我を具えた手っちゃんの独創性に感心していた自分は古谷三敏にまんまと騙されていたような按配。ついでに解説にある「死から生への遡行を再生し、個人個人の情念から攻め直す」と言う畑山文学が自分のウルトラマンタロウ観に通底するのは余談。ウルトラ繋がりで同人誌で発表された「ケロイドの塔」も読んでみたい。

wowowシネマクイズ・ショウ」。「シンドラーのリスト」でのナチ将校のアーモン・ゲート役が実によかったレイフ・ファインズにつられてロードショウで観たときサッパリ内容がワカランかった映画。おかげさま20年来のわだかまりは氷解したけど、なんでこの内容が分からなかったのかが新たな謎として浮上する。(ジョン・タートゥーロ以外の)すべてが上品で美しく、そして誠実な世界観は、上品で美しくて誠実なロバート・レッドフォードが撮ってるから?やっぱり人間にとって誠実さほど大事なものはないのだ。1994年。

ガッチャマンの監督の佐藤東弥って佐藤純彌の実子だったらしい。しかしそれと映画の出来不出来は全然まったく関係ないのは言うまでもない。