あとはただ気力と僥倖だけ

椅子のキャスターがいきなり壊れたのを幸い、急ぎ以前から狙ってたハーマンミラーアーロンチェアを奮発するかと思ったら納期が1ヵ月って意味ねえ!

島尾敏雄魚雷艇学生」読了。同じ著者の「出発は遂に訪れず」はロマンチックに過ぎて挫折したけど、今回のは冷静な筆致が絶妙で、なかんずく特攻隊の志願兵への終日を描いた第四章「湾内の入り江で」が出色の面白さだった。筆者が自身らの命と引き換えるにしてはお粗末すぎる特攻艇の安普請に落胆したり(得て勝手に期待するミズスマシのような快速特攻艇の勇姿が楽しい)、測的に辟易するあまり爆発物そのものを操る特攻艇ほど楽な戦法がほかにあるだろうかと考えてみたり、ほかに類を見ないと思う特攻兵の虚心担懐な心象も圧倒的。一読おすすめしたい。

イマジカBS黒いオルフェ」。有名なタイトルと主題歌がずっと気になってたから放送を幸い観てみたけど、なんか最初から最後まで南国のリズムで踊り狂ってるだけ。お前らはキョーダインのワニンガーか。カンヌで最優秀賞だかアカデミーでなんとか賞だか知らん、あらゆる怪獣番組で「怪獣王子」を最後に観るような都会派のワタクシには苦行のような映画だった。らしい建築物が出る警察のシーンがあえて救われるくらい。カミュ監督で1959年。