燃える!昆虫軍団

大藪春彦「長く熱い復讐」ようやっと手に入った下巻を読了。「周到な襲撃計画→急襲→ひとりだけ残して皆殺し→拷問で口を割らせたのち惨殺」を主人公がなんべんも繰り返し、やがてラスボスに到達する内容はあい変らずで、芸がないと言えば芸がない。翻って解説で川又千秋も書いてる通り(そしてせんぐらで若菜も言ってた通り)、非現実への欲求を充足させると言う小説が本来担うべき視点で考えると、これほど申し分ない作品群はそうないのではないかとも思う。まさに痺れるような暴力へのカタルシスの奔流。それは自分がインドアなオタクなぶんことさらで、腕力に長け、銃器やマシンを自在に操り、屁をこくシーンまで剽悍な主人公・鷲尾進への憧憬やるかたなく、日常の谷間にいる限り、いずれまた大藪作品を渇望するのは間違いないと思う。もっともなんぼ渇望しても1日で読み切るのは我ながら早すぎると思うけど。

あとこの小説読んだおかげさま、20年くらいずっと気になってたてっぽの名前、ルガー・スーパーレッドホークが分かったのは収穫だった。

ムシブギョー」ってカブトムシの奉行とかクワガタムシの悪代官とか出てくる「ムシムシ大行進」みたいなアニメかと思ってたよ!