ようこのようは太陽のよう!

幸田文「闘」読了。タイトルの「闘」は「闘病」の「闘」。そして「闘将」たる主人公を狂言回しに、不治の病だった結核病棟の悲喜こもごもをオムニバスで描いた大衆小説。どの患者のスケッチも劣らず印象に残るが、なかでも長い長い闘病生活からの快癒を目前にしながら、しかし未知の外界を恐れるあまり自ら若い命を絶つ少女の顛末がいたたまれない。しかしその上品な筆致の一字一句を愉しんでいたら、読み終わるまでにずいぶん時間がかかってしまった。ちなみに幸田文幸田露伴の娘さんだったことは浅学にして知りませんでした。

AT-Xモーレツ宇宙海賊」の冗長にもほどがある展開に、大昔に同じ原作者の「ARIEL」を読んだときの、肝心の美少女型ロボットの活躍よりも、その出撃の手続きに遥かにページを割いているもどかしさを思い出して、ああ、この人は相変わらずなんやなあと。必ずしも丁寧だから面白いわけではないと思うんだけど。