ダリってダリ?

盛りだくさんにもほどがある「ミクロの決死圏」を念願かなって初めて映画館で観る。やっぱりええのう。特撮はこうでなくては。人体の小宇宙のリアリティと生々しい質感。それと人物らの合成のマスクが少しずれてるとこもいい。クルーを襲う白血球や抗体が前時代SFの残滓でちょっとモンスターっぽいのもいい。スクリーンで改めてそのスケールに圧倒されるセットも最高にいい。中野昭慶言うとこのワイヤーワークこと吊りもバツグンに上手い。キャスティングも、ペルシャ猫が似合うこいつがスパイだと小学生でも判ったドナルド・プレザンスがいい。そしてウェットスーツのラクエル・ウェルチに文句があるはずがない。なんたってプロテュース号(マルザン的表記)が死ぬほどカッコいいではないか。しもたー!こないだのイーベイのミュージアムモデルやっぱり落札しとくんだったー!ってくらい。かつて潜水艦SFの傑作「海底二万哩」を撮ったフライシャーが、これと言ったSF大作がなかった20世紀フォックスで手掛けた「ミクロの決死圏」は、40年を経てなお遜色ない大傑作だと改めて思う。この映画を楽しめない人には世代差をさっぴいても同情を禁じえない。