悩むのを止めて水爆を愛するようになったか

石川達三の「約束された世界」とエンゲルスの「空想から科学へ」を立て続けに挫折したところに、おりもおり出入りの営業くんが「核爆発災害・その時どうするか」なる物騒なタイトルの本を貸してくれた。広島とビキニ環礁を筆頭、地上核実験とその実用の歴史とメスニズムを検証した一冊である。通勤の暇つぶし程度に読み始めたが、膨大で緻密なデータを土壌に、筆者の恐るべき知的好奇心がまるで見てきたように紡ぐ筆致が誘う興奮はただごとでない。望むと望まないに関わらず、核オタクになれることうけあいの啓蒙書。

ちなみに本を貸してくれた自称アスペルガーの営業くん。歴史、地理、経済、文学から古きよき時代のポップスまで、ワタクシの浅学の範疇とは言え、質問におよそ答えられないことはない。世が世ならアメリカ横断間違いナシの博学多識っぷりで、実に楽しく仕事と時間を忘れて雑談してしまう。やっぱりアタマの良い人はいい。ついでに金沢出身と言うのもいい。彼のような俊傑が然るべきところに収まれない社会の不条理をワタクシは呪う。

震災後初めて帰郷した雨Vが例によってハギムーンを送ってくれた。これでは真逆ではないか。慙愧と感謝の念を抱いて食す。