あるときは保母さん!

テレ朝チャンネルの「ジャッカー電撃隊」の先週は、特撮モノのダビングを任意で頼まれたとき、頼まれなくても必ず勝手に入れておく「行くぞ七変化!鉄の爪対ビッグワン」を放送。上原正三が描く番場壮吉と鉄の爪の七変化は、正邪のナルシズムを起点にする変身願望を埋没させて、東映ヒーロー番組でもっとも意義ある寓話として、いまなお鮮烈である。決定稿シナリオと完成作品の目立った違いは、光速で敵を翻弄する「ビッグワン白鳥の舞」や、目から怪光線の「ビッグワンビーム」など、その超然さを損なうような描写はすべてオミットされて、黒髭の男を探す番場壮吉の台詞や怪僧プチャーなどはテレビ通りカッコよく変更。これに宮内洋石橋雅史ほかキャストの軽妙洒脱なアドリブが加味されて、山田稔でもなんか竹本弘一っぽい、平山プロ言うところの歯切れの良い演出から成る傑作フィルムに完成を見る。ところで藤田長官はクロコダクル総統のときとちゃんと同じ須藤健のキャスティングで、死の収容所の脱走からたった2週間の儚い命だった。

そして今週は「死を呼ぶ暗号!猛毒コブラツイスト」を放送。先週のリバウンドみたいな凡作で、玉三郎の赤フンターザン以外にこれと言った見どころもなく、視聴者の脱力感をビッグボンバー・アフリカ象(着ぐるみの演技者が気になる)が盛り上げる。ちなみにウエショーのシナリオではちゃんと東経と北緯の意味を有していた139以下の死を呼ぶ暗号も、フィルムでは一切ほったらかし。テストコースで派手に爆死するはずだった古田社長もなんとも手軽な死に様になった。新命&大岩コンビの再来みたいな番場&玉三郎コンビの変装にキッチリ2度騙されるコブラ大神官のしらけ鳥音頭ならぬコブラ音頭や、「アフリカ象はキライッ」の断末魔は現場のアドリブだった模様。クチビルゲこと吉田義夫と、好事家には柿崎澄子の登板で人気のある回かも知れないこともない。

それはともかく「風魔の小次郎」はいいぞ!