大物だぁ!

野坂昭如アメリカひじき・火垂るの墓」と「マリリン・モンロー・ノー・リターン」読了。相変わらず恐ろしく下品で恐ろしく格調高い。そしてエロスとタナトスが同衾共枕する、ありえない筆致に圧倒されっぱなしの作品集。なかんずく前者から「死児を育てる」と後者から「母陰呪縛譚」がグロテスクさも白眉と思う一方、珍しく男どもが活躍する「死の器」の奇妙な爽快感が印象的。

あと下重暁子「家族という病」。タイトルと全然まったく関係ない、哀れみすら覚えるキチガイ婆さんの持論に最後まで付き合えるはずもなく序盤でゴミ箱行き。きっぱり時間と金の無駄。古本屋で200円でもこれほど腹が立つのに定価で買って読んだ人の無念や如何。